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この度は、【わん】ホームページをご覧頂きまして、誠にありがとうございます。
今回、送付させて頂きました、ご案内のなかで、「内冠をそのままにして上物だけ作り直す」という点につきまして、「方法を具体的に教えてほしい」というご質問をいただきましたので、その内容につきまして、補足説明させていただきます。
1.「適正な内冠であるか」を診断
- 口腔内の内冠に適正なテーパーが付与されているか
コーヌスクローネの内冠は基本的には6°のテーパー(コーヌス角)を与えますが、ケース、あるいは支台歯の状態によっては、4°にしたり、8°にしたりということもあります。口腔内全体のバランスを見ながら、歯科医師と技工士でその角度を決めるわけですが、テーパーが大きくなる程、内外冠の維持力は弱くなりますので、テーパーの大きい内冠ばかりが占めていたりしますと、作り直しても全体の維持力は出ません。
- 偶角がきちんと仕上げられているか
支台歯単位でも、支台歯の形成次第では、近心面は2°のテーパー、頬舌側は6°、遠心面は10°のテーパーを付与したりなどということがありますが、大切なのは、その遇角部の仕上げです。きちんとミリングマシンを使って仕上げれば問題ありませんが、フリーハンドで研磨したりすると、適正な内冠とは言えません。大切なのは、全周が6°の均一なテーパーで仕上げられているか、ということです。
- 軸面がフラットに仕上げられているか
これも、ミリングマシンで機械研磨してあれば問題ありませんが、フリーハンドですと、軸面に「歪み」が生じます。この「歪み」が生じることによって、内外冠の維持力が安定せず、長期的な持続も期待できなくなります。
口腔内でカンタンに見分けるには、内冠の軸面に反射している「光の筋」を見て、それが歪んでいたり、波打っていれば、その軸面はフラットではありません。適正に仕上がっている内冠は、光の筋が真っすぐになっています。
実際のところ、「適正な内冠であるか」を診断させていただくときに送られてきた模型を拝見しますと、2割位の割合でしか、「適正な内冠」は入っていないのが現状です。
逆に言いますと、上物を作り直さなければならなくなるほどのケースの内冠のほとんどが「適正な物ではない」ということになります。
今ではフリーハンドで内冠を製作する技工士はほとんどいないと思いますが、1980年代、コーヌスが大流行(?)した頃、ミリングマシンもそれほど普及しておらず、それでもコーヌスクローネのシンプルな構造ゆえから、「手軽にフリーハンドで作ってしまった」ものが、遺物となってしまったと言える可能性が高いかも知れません。もっと言えば、コーヌスは維持力が強すぎたり、すぐ弱くなったり「安定しない」から良くない、と言われるようになった所以はそこにあったのかも知れないと言われても仕方がないということです。
2.先生にご協力をお願いしたいこと
- 「適正な内冠である」と診断された場合
外冠製作の要となるレジンコーピングを、口腔内で直接内冠上で盛り上げて頂きたいのです。そしてその場で、そのコーピングの状態で、維持力があるかどうかを確認して頂き、維持力があれば再度コーピングをセットしてそのままピックアップ印象をして頂ければ結構です。
- 「適正な内冠ではない」と診断した場合
残念ですが、その内冠はコーヌスクローネとは違うものになりますので、適正で安定した維持力のある外冠を製作することはできません。後付けのもので維持力を出せたとしても、その場しのぎになってしまうことが多いようです。
理想的には、内冠から作り直した方が良いと思います。
- 「適正な内冠」であっても、コーピングを作らず、石膏模型上で外冠を製作した場合
これも、印象の寸法変化、石膏の膨張、面荒れなどの理由から、適正で安定した維持力のある外冠にはならない可能性がありますので、おすすめできません。
3.口腔内で、コーピングを製作して頂く際の注意点
- 「ネガティブヴィンケル」は必ずブロックアウトして下さい。
ブロックアウトせずに、コーピングの築盛をして抜き差しをされますと、コーピングが変形、または破折する恐れがあります。
「ネガティブヴィンケル」が複数面にわたって存在する場合は、お申し付けにより、模型上でブロックアウト用のシリコンを製作致します。(1歯につき¥1,000)
- コーピングは必ず何度か抜き差しして、維持力があるかどうかチェックしてください。
その他、ご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。